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りゅういち活字依存症 -2000-
2000年に読んだ本たちです。22冊…目標に2冊届かず…。でも上下で2冊なら丁度24冊!!
2000/12
ストロボ -すとろぼ-
真 保 裕 一
★★★★
閃 光 が 炊 き つ け た せ つ な い 記 憶 の 今 も 疼 く 5 つ の シ ー ン
50歳のカメラマンの喜多川の脳裏によみがえる熱き日々 時間のフィルムを巻き戻し、人生の光と影をあぶりだす名編。(帯より引用)
REVIEW
構成がいきなり50歳の第5章から始まって、終わりが22歳第1章というのがおもしろい。内容も写真やカメラの事などが上手く書かれていて知らない人でもすんなり読めるし、短編5編からなるので読みやすい。それぞれのエピソードも友情から愛情まで多岐にわたる。
川の深さは -かわのふかさは-
福 井 晴 敏
★★★
彼 女 を 守 る 。 そ れ が 、 お れ の 任 務 だ 。
昏い澱みの中を、鮮烈に走り抜ける命。明日知れぬ逃亡、そして戦い―
熱く、切なく、深い。失われた誇りを蘇らせる修羅の奇跡、待望の刊行。(帯より引用)
REVIEW
読みやすい。亡国のイージスより前の話なので、梶本が官房長官だったり、ダイスといった名前は出てこない。話は短いものの、亡国のイージスを短くしたような感もある。桃山、保コンビは仙石、如月コンビと重なったりする。
2000/11
レディ・ジョーカー(下) -れでぃ・じょーかー-
高 村 薫 (Takamura Kaoru)
★★★★
人生という不毛 男たちの魂の渇き
さまざまな思惑をはらみ、増殖し続けるレディ・ジョーカー事件。犯罪の愉楽に発狂する男たちの臓腑。
すべてを覆い尽くす地下金融の腐臭。彷徨する魂たちに明日はあるのか。
そして合田雄一郎を待つ驚愕の運命とは―
犯罪小説の枠を超越し、比類なき感動を呼ぶ、高村文学の新たな頂点。(帯より引用)
REVIEW
読み方が悪かったのか、間延びしてしまった(^^; それでもすごい。描写の細かさ、特に人の心の綿密な描写は素晴らしい。最後は本当にやりきれない感覚の中にすがすがしささえ感じる。
2000/10
レディ・ジョーカー(上) -れでぃ・じょーかー-
高 村 薫 (Takamura Kaoru)
★★★★
胸をえぐる企業社会の 黙 示 録 「人 質 は 3 5 0 万 キ ロ リ ッ ト ル の ビ ー ル だ」
心に深い孤独を抱えた5人の男たちが企てた、一兆円企業・日之出麦酒の社長誘拐。しかしそれは物語の序章でしかなかった―。
男たちを呑み込む闇社会の壮絶な営みと暴力を描いて、人間存在の深淵を覗く壮大な闇の叙事詩が、いま、扉 を 開 け る 。
(帯より引用)
REVIEW
取材の綿密さからくる細やかな描写や、人間心理の書き方などが取っても上手く人物像やその状況などがよくわかる。が、受験生のぼくにはいささか書きこみ過ぎの感があるので-1。でもストーリー展開と伏線の張り方などは読んでておもしろすぎ。
2000/9 は無し
2000/8
ぼっけえ、きょうてえ -岡山地方の方言で「とても、怖い」-
岩 井 志 麻 子 (Iwai Shimako)
★★★★
全国に広がる震撼の渦!! 背筋も凍りつく 究 極 の 怪 談 。
選考委員激賞! 第6回日本ホラー小説大賞受賞作 <圧倒的な凄味>に各紙誌絶賛!(帯より引用)
REVIEW
どれも怖いが、最後のやつが最も怖い。とくに本は夜見るので眠れねぇっつの!岡山弁での語り口がかなりよい雰囲気。怖さを倍増してくれる。基本的にすべての話はみな貧困な主人公であって、その哀れな境遇で見る地獄が他の恐怖を呼ぶ…のかなぁ…?
秋の花 -あきのはな-
北 村 薫
★★★★
校舎の屋上から堕ちた女子高生。その死をめぐって円紫師匠と女子大生の追及が始まる……!
北 村 薫 待 望 の 初 長 編 (帯より引用)
REVIEW
さすがは北村薫。情景などの描写が細かく巧みである。しかし、今回は「噺家と女子高生コンビ」シリーズ初、「死」が絡んでくる。かなり悲しげな話で、どうにもやりきれない感も残る。
黒い家 -くろいいえ-
貴 志 祐 介
★★★★
人 間 は こ こ ま で 悪 に な り き れ る の か ? 人 間 存 在 の 深 部 を 襲 う 戦 慄 の 恐 怖 。
巨大なモラル崩壊に直面する日本。黒い家は来るべき破局の予兆なのか。人間心理の恐ろしさを極限まで描いたノンストップ巨編。(帯より引用)
REVIEW
ホラー大賞をとっただけある。怖い。幽霊などが怖いのではない。人間が怖いのである。あそこまで冷徹な殺人者と、それを裏付ける心理描写などが巧くて引きこまれます。
映画化してます。 CAST 西村雅彦/大竹しのぶ
2000/7
ボーダーライン -ぼうだあらいん-
真 保 裕 一
★★★★
握 手 を す る よ う に 人 を 殺 す 男 。 一 度 踏 み 出 し た ら も う 戻 れ な い 。
欲望の街・ロサンゼルスを彷徨する探偵・永岡 修。地獄を見た親子を追い、人の心の砂漠を目撃する。
世紀末を斬るハードボイルド巨編。(帯より引用)
REVIEW
生まれながらにしての犯罪者はいるのか、といわれればいないとも言えない。現在の日本の現状や、アメリカの現状などをふまえ人間の心の中が見えてくるような作品。かっこいいよ。
2000/6
柔らかな頬 -やわらかなほほ-
桐 野 夏 生 (Kirino Natsuo)
★★★★
1994年8月 「現代の神隠しか 深まる謎 有香ちゃん失踪事件」
私はたった1人でここにいる。有香もたった1人でどこかにいる。
怒りはやがてとてつもなく大きな悲しみに変わっていった。カスミは石ころだらけに岸辺に突っ伏して号泣した。
カ ス ミ の 漂 流 は こ こ か ら 始 ま っ た の だ っ た 。(本文より引用)
REVIEW
結局は真相がわからないまま終わる。が、いろいろな人々と再会し新たな真相がわかったり、当時のその人の気持ちなどが読んでいておもしろい。顔が見えない犯人がとても怖い。最後の2行がいろいろと波紋を呼んでいるんだとか。自分で犯人を予想したりするのも楽しむ方法としてはなかなかだと思う。
BS-i (TBS系BSチャンネル)にてドラマ化予定
2000/5
THE BONE COLLECTOR -ボーン・コレクター-
ジェフリー・ディーヴァー (Jeffery Deaver) 池田真紀子・訳
★★★★
骨の折れる音に耳を澄ます ボーン・コレクター。す ぐ に は 殺 さ な い。
受けて立つは元刑事ライム、四 肢 麻 痺 ―(帯より引用)
REVIEW
海外作品らしいよみにくさはそんなに感じなかった。訳した池田真紀子さんに感謝。
連続殺人事件のミステリーであり、アメリアとライムの恋愛小説でもある、なんとも贅沢な一冊。面白い。
ソニー・ピクチャーズ配給 2000春映画化
ホワイトアウト -ほわいとあうと-
真 保 裕 一 (Shimpo Yuichi)
★★★★★
日本最大の貯水量を誇るダムが乗っ取られた。人質は発電所職員と下流域の市町村!残された時間は24時間。
同僚と亡き友の婚約者を救うべく、ダムに向かう主人公・冨樫のもう一つの敵は、絶え間なく降りしきる雪、雪、雪……。
吹雪に閉ざされ、堅牢な要塞と化したダムと厳冬期の雪山に展開するハードアクション・サスペンス!(カバーより引用)
REVIEW
なぜかスケールと世界観の大きさを感じる作品。細かい部分まで入念に書かれ、無理のある設定もすんなりと受け入れられる。導入部分から最後のエピローグまで、一気に読んでしまう作品。必見。
主演/織田祐二・松嶋奈々子 2000/8/19公開
亡国のイージス -ぼうこくのイージス-
福 井 晴 敏 (Fukui Harutoshi)
★★★★★
「そこから逃げてしまえば、生きる価値のない人間になってしまうと思っていた。でも今は違う。戦う理由は、他人から与えられたり、
押しつけられたりするもんじゃない。自分で見つけて、自分でつかみとるなにか……。自分でしか触れられないなにかのため……
甲 斐 を 守 る た め に 、 戦 う ん だ」 乱歩賞作家福井晴敏、本作でブレイク!(本文&このミス2000より引用)
REVIEW
冒険小説の名にふさわしいスケール、そして、男心をくすぐる設定がなんとも言えない。如月と仙石のコンビも、また話を盛り上げる。入り組んだ構成と設定は、すごいとしか言いようがない。スパイものでもあり、戦争ものでもあり、友情ものでもあるという贅沢な一冊。必見。
2000/4
白夜行 -びゃくやこう-
東 野 圭 吾 (Higashino Keigo)
★★★★★
なにかを間違うてる。俺らは何か、まったく違う道に入りこんでしまってるぞ―
精密機械を思わせる完成度。そのテクニックが冴える。(本文&このミス2000より引用)
REVIEW
わざと読者に誰が犯人かほのめかすような構成でおもしろい。しかし最後の最後に最初の事件の全貌が明らかになる。細かなストーリー構成は圧巻。必見の1冊。でも、最近読んでるやつの根底に流れるテーマが似てるような気がする。
最悪 -さいあく-
奥 田 英 朗 (Okuda Hideo)
★★★★
な ぜ 人 は 平 凡 な 日 常 か ら 堕 ち て い く の か ?
1999年の話題作!! とてつもない新人が放つ比類なき犯罪小説(帯より引用)
REVIEW
3人の行動が裏目裏目に出る。まさに最悪である。しかしよく考えてみると誰もが抱えてる悩み?イヤな奴らの行動(といってもそう感じない人もいるかもしれないけど)は不快感にさえ襲われる。最後のバンガローでのやりとりは目をみはる。
BS-i (TBS系BSチャンネル)にてドラマ化予定
2000/3
永遠の仔(上・下) -えいえんのこ-
天 童 荒 太 (Tendo Arata)
★★★★
十七年前、霧の霊峰で少年たちが起こした聖なる事件が今鮮やかによみがえる―。
再 会 は 地 獄 へ の 扉 だ っ た。最高傑作ミステリー!(上巻帯より引用)
REVIEW
今の世を反映した、幼児虐待を主題にして現在と17年前の話が交互に繰り返され1年が経過する、という構成が結構良い。最後の最後に大どんでん返しがあり、驚き。まさかあの人が…!しかし、上下巻は長いね。読むのが大変でした。
日本TV系列で2000春ドラマ化 CAST/中谷美紀(優希)/椎名桔平(ジラフ・梁平)/渡部篤郎(モウル・笙一郎)
2000/2
冬のオペラ -ふゆのオペラ-
北 村 薫
★★★★
名探偵 巫(かんなぎ)弓彦 人知を越えた難事件を即解決 身元調査等、一般の探偵業は行いません
「名探偵はなるのではない。ある時に自分がそうであることに気づくのです」
「≪名探偵≫というのは、行為や結果ではないのですか」
「いや、存在であり意志です」 (帯より引用)
REVIEW
まさに名探偵ぶりを発揮する巫さんには、ほれぼれする。まさに「天空の上の人」である。
「三角の水」は、まさに逆転の発想。アイスのフタと消火用の水がキーワードとまさに人知を越えている?
「蘭と韋駄天」は、韋駄天と足疾鬼と掛け合いに進んでいく構成だが、やや物足りなさを感じる。
「冬のオペラ」は、この3つの事件の中ではまさにミステリーといえる。唯一、殺人のおこる作品でもあり、謎が謎を呼ぶ事件現場、勘のいい人ならば途中で犯人がうすうす感づくだろうが、まさかあそこまではわからないと思う。
「空飛ぶ馬」や「夜の蝉」の円紫と巫は、すぐに真相がわかってしまうところが似ている。
六の宮の姫君 -ろくのみやのひめぎみ-
北 村 薫
★★
「私」が卒論のテーマで選んだ芥川龍之介 文壇交流の実態を調べるうちに浮かび上がった謎 !?(帯より引用)
REVIEW
ともだちの正子との会話のやり取りは良い雰囲気で行われ、なんともうれしい。が、今回は「ミステリ」色が薄いのでミステリを期待して読むと少し読みにくい。それでもやはり読みごたえはある。
盤上の敵 -ばんじょうのてき-
北 村 薫
★★★★★
極 上 の 北 村 魔 術。こらからやるのがチェスだとすれば、まず駒組みを完成させなければならない。借り物は、すんだ。
つまり陣形は整った、というところか。だが、準備完了というわけではない。
その前に、最も重要な大駒の配置をする必要がある。それが無理なら、この勝負は最初から逃げ出すしかないのだ。(帯より引用)
REVIEW
途中途中に入る、無意味と思える『白のクイーン』の回想。クライマックスには重大な意味をもつ。ストーリーの展開、テクニックに脱帽。途中に覚える嫌悪感などは、読み終わった後の充実感と幸福感に覆われる。必見の一冊。
青の炎 -あおのほのう-
貴 志 祐 介 (Kishi Yusuke)
★★★★★
こ ん な に も せ つ な い 殺 人 者 が か つ て い た だ ろ う か
光と風を浴びて17歳の少年は、海沿いの道を駆け抜ける。愛する妹と母のために―。氷のように冷たい殺意を抱いて。(帯より引用)
REVIEW
この世に殺しても良い人間はいるのだろうか?いろいろ考えさせられたりもする。パーフェクトだと思われた主人公が崩れゆく。最後の結末には一種の驚きさえ感じる。
2000/1
BATTLE ROYALE -バトルロワイアル-
高 見 広 春 (Takami Kousyun)
★★★★
楽しいはずの修学旅行が凄絶なバトルゲームに一変した!!
某新人賞選考委員会委員全員からあまりの内容の過激さゆえにそろいにそろって拒絶落選させられた噂の問題作。
管理国家と<死のゲーム>を主題に史上最悪の”椅子取りゲーム”が始まった!!(帯より引用)
REVIEW
突拍子もない設定だがなかなかおもしろい。今年一番初めに読んだ作品として申し分なかった(12時間ぶっ通しで読んじゃった(^^;)。ゲームの中味も時間がたつにつれ入れなくなる領域(そこにはいるとつけられた首輪が爆発する)があることや、実際は人が住んでる島を政府の権限で住民を一時退去させたためただの無人島サバイバルでないところもいい。各自持たされるデイ・バックの中味は、パンと水と武器がおもなのだが、武器の種類が豊富で笑えたりする(中にはフォークもある(笑)。
全体としては、テーマが重いが作者のお遊びなどもあり読みやすい。青春冒険活劇とても完成度は高いと思う。
2001年映画化決定! 監督/深作欣二 ビートたけしが出演
夜の蝉 -よるのせみ-
北 村 薫 (Kitamura Kaoru)
★★★★★
「このミステリがすごい! '89」国内部門第2位
騒然たる話題を読んだ前作「空飛ぶ馬」は本書の前座でしかなかった!!
ミ ス テ リ 界 の 真 打 登 場 !(帯より引用)
REVIEW
日常的に潜む謎をボーイッシュな女子大生と噺家、円紫の名コンビぶりがなんとも言えなくいい。「わたし」が持ってくる謎をいとも簡単にといてしまう噺家。爽快でさえある。
「わたし」がだんだんと女らしくなって行くのもよくわかり心をくすぐられる。
「朧夜の底」は、正ちゃんを中心に進められていく。顔の無い異変の張本人はちょっとこわい。
「六月の花嫁」は江美ちゃんを中心に3編中もっともミステリーな作品。
「夜の蝉」は「わたし」と姉を中心に描かれなんともいい。女のこわさも実感した。
今はとにかく北村作品にはまっているのである。彼の描写はすごくうれしい気持ちになれる。(おれだけ?(^^;)
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北 村 薫
★★★
1 7 歳 の 私 が 4 2 歳 の 今 を 生 き る ―
時間のねじれのなかで≪17歳≫の力が25年の時空を超えて、動き出す。
誰か、教えて下さい。時は、取り返すことが出来るのですか。(帯より引用)
REVIEW
はじまりが文化祭の前の日でクライマックスが文化祭当日、というのがなんともよくできた構成である。というのも、真理子さんは42歳のときの職業は高校の国語の先生なのである。
生徒との学級日誌の掛け合いなど以外に学校生活のなかにもいまさらおもしろさがあるように感じた。
最後の池ちゃんからの言葉と終わり方は様々な解釈ができる?
NHKで CAST/松坂慶子 酒井真紀 長塚京三 でドラマ化、放映済み
Turn -ターン-
北 村 薫
★★★
「ロビンソン・クルーソーは島に1人だった。…でも、この世に人間がいるとは、分かっていた。
この世のどこにも、人がいないと知ってしまったら、ロビンソンはどうなったかしら」(本文より引用)
REVIEW
Skipに続く北村薫の「時と人」3部作の第2作目。今度は繰り返し誰もいない世界で生活するというもの。ミステリ色は薄いが質の良い恋愛小説に仕上がっていると思う。Skipよりも自分的にはおすすめ。(いや、どっちもオススメだけどね。)
映画化決定 主人公役/牧瀬里穂
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